「あ! あ、あ、あ!…や、やだ、こわ…い」
なにもせずともミントが内から、まるで媚薬みたいにエドの神経をぴりぴりと犯す。
どうしてこんなこと、するの?
「なに、おまえなら大丈夫だよ」
傷つかないようにエド自身をしっかりと握ったままのロイの手が、
中にキャンディが収まったのを確認するかのように強く上下に扱いた。
圧迫された前立腺が内部の硬い芯と擦れて、一気に弾けそうな快感がエドを襲う。
「あ、ああっ!」
それでも塞がれた蜜口から迸るものは無くて、体の中を行き場の無い射精感が暴れまわる。
「や、や、やだっ! いきた……いかせ、て…」
「まだ、頑張れるだろ」
冷たいほど楽しそうなロイの声。
「我慢したほうが気持ちいいのは、以前教えたはずだよな」
「で、で…でも…。んっ、ん、あ、ああ、あ、あっ!」
くるんと中で動かされ、爪先まで痺れが走った。死にそう。
普通のSEXなら、性エナジー貰うだけの行為なら、こんなことしない。
だけど、それがロイから与えられるものなら…苦しいのまで気持ちいいのは、何で?
じんじんと熱く疼く下腹に悶えながら、エドはロイの愛撫を受け続ける。
背中と壁の間で広がったままの羽根は、
荒い壁紙に擦り付けられる微かな傷にさえ悦びを見出すかのようにうち震えている。
「ほら、もっと溢れてきた」
迸ろうとするエドの淫液に少しだけ押し出されたキャンディを、長い指がご丁寧にまた押し戻していく。
「ぃ、あっ! あ、あ、だ、だめ…っ」
粘膜を直接嬲られる快感に、金の魔物は仰け反って嬌声を上げた。
「あ、あぁ、…ロ、イ……ロイっ…」
怖くて。
なのにしがみつけない腕が、喘ぐ吐息にと変わっていく。
いくつも開かれていく知らなかった扉。
それが自分をどんな存在に変えるかなんて思いもよらないままに。
「さて、と。おまえこれと一緒にチョコバーを咥えるのが、好きだったんじゃなかったけ?」
ぴりぴりと裂かれるパッケージ。
中から現れる太いお菓子に、ロイの笑みが重なる。
「これ、一緒に『咥えて』みるかい?」
「………っ」
「ああ、でもおまえの中は熱いから突っ込んだら溶けて大変かもな。……ナッツもあるし」
言われる言葉に次の行為を思い、浮かぶ光景に肌が熱くなるのがわかった。
べたべたに汚れた自分の内部。
大きな木の実が性具のようにあちこちを抉り、その中を掻き回すロイの指に啼かされる。
けしてまともとは思えない、そんな行為。
イケない熱がずくんと疼く。
(……あ?)
そんなコトされるの嫌なはずなのに、どうして。
(そ、そんな、の……やだ…)
初めて生まれた羞恥がエドの中で育ち、禁忌感がいっそう性感を煽って子供を混乱させてる。
その事実に気付いてるのは黒い瞳の男だけ。
だから彼は先を急がなかった。
「どうしたい?」
問われ真っ赤になったまま、エドはふるふると首を横に振る。
これまでのエドだったら、最後には好奇心に負けて受け入れていただろう。
だって、気持ちいい事は好きだから。
淫魔にとっては結果があれば気にもならないエッセンス。食事の味付けや盛り付けが変わる程度の。
だけど、今のエドにとってそれは。
耳まで赤くして俯く姿にロイは知らず口元に薄い笑みを浮かべる。
まるでヒトのような恥じらう心。そんなものまで手に入れてしまった淫魔があまりにも可愛すぎて。
(それならそれで、進め方を変えようか)
一度に苛めて酷く啼かせるのはもったいないから。
そう時間はたっぷりとあるのだ。
「…ん、…ロ、イ…が、あ…は、はぁ…ロイのが、っ……いい」
泣きそうな声で呟く幼い獲物にロイの熱が渦巻く。
「うん、そうだな。俺もお前が欲しいよ」
ちゅ…と、音をたてて眼尻にキスを落とすと、潤んだ瞳で見上げる少年に微笑みかける。
「ロイ……」
安堵したように息を吐く子供の、床にある足を肩に抱え上げる。
と。
「ひゃ……っ、あ、ああっ?」
小さな体はロイと壁に挟まれ、宙に浮いたエドは蕾をロイに向かって差し出す格好となった。
「あ」
手早く前を寛がせたロイの灼熱が、エドの潤んだ最奥に触れる。
ゆっくりと円を描くように周囲をなぞりながら、じわじわとロイの先端がエドの蕾を開いていく。
「あ、あっ……ん、ん…ロイ…」
もどかしさに腰が揺れ、まだ刺さったままの異物が中からもエドを犯す。
周囲を淫液で覆われたキャンディはぬるぬると自在にエドの内部で動き、
出せない苦しさはとっくに快感にとすり変わっていた。
「ん、ん、んっ……は……っ」
誘い込むように蠢くエドの内壁に持っていかれないようにロイは静かに息を整えると、
それが締まる瞬間を見計らって、掴んだエドの腰を一気に引き寄せ……貫いた。
「あ、ああぁーっ!」
無意識に締まった蕾に捻じ込まれて、通常よりも激しく裂かれる感覚にエドは甲高く甘い叫びを上げる。
じんじんと痺れるような痛みがあっという間に蕩ける快感に移っていく。
「……相変わらず、きつい、な」
何度抱いても初めてのような狭さにロイは口を微かに歪め、笑う。
そうとわかっていつつ、更に狭くなる瞬間を狙ったのはこの男ゆえのやり口。
どんな痛みも快感も、全てこの魔物に与えるのは自分だと決めたのだから。
「…は…あ、ぁ…はぁ……はっ…。ん、んぅ…」
ゆっくりと揺らしていればすぐに馴染んで再び蠢き始める内壁。ほどけ落ちる甘い息はキスで塞いで。
「ん、んぅ、んっんん、んっ……」
咎人のように両手を広げ張り付けられたまま、両足を浮かばせてエドはロイに貪られる。
打ちつけられる腰の動きに、唯一自由な尻尾がゆらゆらと揺れた。
「ん、ん、く…ん、ぅ、ん、んん、ん…」
湿った音と吐息が同じリズムで部屋を震わせていく。
「……っ、はっ…は、はぁ、はぁ…っ、あ、あ、あ……」
口づけを外され、ロイがさらに激しく動けるように体勢を変える。
両足をつかまれ大きく持ちあげられれば、
広げられた足の間に深く、浅く、ロイの剛直が薄赤に染まった窄まりを出入りするのが見えた。
目と体と耳とを同時に犯された子供は、その光景から視線を外す事も出来ず、ただ息をのんで。
「みえるだろう? 本当におまえはおいしそうに『食事』をするね」
「や、っ……あ、ああっ!……んぅ!」
引き出されたロイにしがみつくような赤い粘膜を、カリ…っと軽く引っ掻かれエドは痙攣する。
びくびくと震える腿はロイの腕の中、揺るぐ事もなくて。
「ロ、ロイ…おねが…と、って…」
遠くなりそうな意識の中、エドは必死で言葉を紡いだ。
突きあげられる度達しそうになるのに、邪魔されてイケない。
遮られ続けた射精感はひりひりと痛いほどにエドの身体を焼いていて。
「おねが…あっ! あ、あ、やぁっ!」
肩に足を置くと、ロイは開いた手で二人の間で揺れる幼い熱を数度しごいてみせる。
芯を入れられたままの行為に限界まで張り詰めていたソレは、紅く息づきロイの男を刺激する。
放てない状態で与えられた愛撫は、もう、拷問でしかなくて。
「あ……あ、…っだ、…め……」
しんじゃうと、半分虚ろになりそうな金の瞳に壊してみたい欲望が湧き上がる。
だが、その凶暴な感情を押さえ込みロイはそっとエド自身に指を伸ばす。
苦しげに震える赤く染まった蜜口から、そっと淡い緑のキャンディを抜き取る。
ほぼ同時に、ほぅ…と吐息が漏れ、エドの体が弛緩した。
「さて、そろそろ俺も限界だ」
さっきまでのエドの痴態と思わぬ反応に煽られ、ロイの雄はエドの内部で更に強く脈打っている。
微かに乱れた息でそう告げるや否や、ロイはエドの身体を穿ち始めた。容赦なく、激しく。
「や、あ、あ、あ! あ、ああっ! あっ、あっ、あっ!」
のがれようのない突き上げに、跳ねるようにエドの小さな肢体が空を舞う。
身体ほとんどの重みを繋がる箇所で支え、深く深く、男の熱に切り裂かれていく。
「や、あっ、も、もっ、あ、っ、っ、っあ、ああーっ!」
もうダメだと、声にも出せなかった、その一瞬あとに。
目の前が真っ白になり、ずっと堰き止められていた白濁が迸った。
刹那。
これまでになく奥まで突きこまれ、イった反動で締め付ける身体の中でロイが弾けるのを感じた。
*****
「少しやり過ぎたか?」
ぐったりと腕の中で気を失ったエドを抱え、腕の糸を切るとロイはその身体をベッドにと運んだ。
そっと横たえれば、無意識に巻きついてくる腕。
乾いた涙の痕に金の髪が纏わりつき、その姿をいっそう儚げに見せている。
「まったくたいした奴だな」
その腕に引き寄せられるまま身を寄せ、抱きしめたまま横たわる。
腕の中で感じる吐息すら愛おしい。
長い命の間の、暇つぶしのような関係のはずだった。お互いに。
恋などと名づけてもソレは偽りの遊びで。
なのに……。あまりに真っ直ぐなエドの心に、不覚にも囚われてしまった。
「この私に……生きてて欲しいなどという存在が、現れるとは、な」
それは百数十年の長きに渡り、ひとりで人界を流離っていた男が、おそらくは初めて知った感情。
持つことを初めから諦めていた、想い。
視線を流せばテーブルの上に赤い林檎。
どんな思いで魔界の開く日を待ち、これを採りに戻ったのか。
感情など無い筈の淫魔から、それでも愛と呼べるものを感じるのは気のせいではないだろう。
そして、この身の内から湧き上がる感情も。
「悪いが、もう手放してやれんぞ」
聞こえてもいないだろう言葉をそれでも愛しげに落とす男の、
その顔には見た事もない優しい笑顔が浮かんでいた。
な、なんとか年内には終わりました。やっと……。
ってか、もうじきクリスマスですねー、ははは…_| ̄|●
おつきあいありがとうございました!!
(08.12.18)