「…あ…あっ…う、そ…」

じんじんと自分の中に存在する熱い指を感じる。


二本挿し入れられたソレは、ばらばらと動き

エドの体に空洞を作り上げようとするかのように掻き回していく。

(や、…あ…。そんな、の。……だめ…、だめだっ…)

自分の体が制御できない怯えが金の瞳から雫となって零れ落ちた。

だって、耳に届く湿った音は自分が壊されてく響きのようで。

男の手が動く度、くちゅ…と生々しい熱が広がる。

(ど…しよ。おれ、…変わって、く…)



嫌な筈なのに完全に拒否できないのは、

その指が、舌が与えてくる感覚をどこかで悦んでる自分がいるから。

それがわかってしまうだけにエドは一層いたたまれない。

(こんな、風に扱われて…、なのに、なんで…?)

「く、ぅ…ん…。あ…ぁあっ!…やっ」




「…狭い、な」

ボソリと、誰に言うともなくロイが呟いた。



すっかり指を飲み込んで愛液を満たしてきているエドの内部だが

動きを止めるとそのまま塞がりそうに狭まっていく。

それはおそらくこの行為への拒否感。

(これじゃ、埒があかない。仕方ない少し荒療治といくか…)

見下ろす先には、初めての快感に翻弄されるまま息を乱す天使。

薄く開いた唇から、何かを誘うように紅い舌がときおり覗く。

歪んだ笑みをその顔に浮かべると、ロイはおもむろに体の向きを変えた。

「…え!?」

不意に軽くなった体に驚き、エドが瞳を見開く。鮮やかな金の光。

目の端に捉えるとロイは反した体をそのまま押し付け、

今度はエドの足の付け根にその舌を這わせ始める。


「…っ、あ、あああ、やっ、いや、やーっ!」

生じたばかりの裂け目を舌で舐めあげれば、反り返る背中。

どうにか閉じようと抵抗する足を、膝裏を抱え逆に限界まで開かせる。

「いっ、いや、やだ。…ぅ、あ、あん…だめ…そこ、やだぁ…」

否定の言葉しか紡げぬ唇は、それでも裏切るように歓喜の吐息を漏らす。

「嘘をつくな。気持いいと…ここは言ってる」

「は…っ、あぁ…はぁ、…ぅ」




エドの反応を確かめるとロイは唇でその場所に『女』を模っていく。


軽く銜えそっと引っ張ってやれば、薄紅の花びらが左右に開いて蜜を湛えた。

「ほら、もうおまえは立派な『オンナ』だ」


「い、いやだ…そん…な風に、あっ…ああぅ…ぅむ…んっ」

抗議に開こうとした天使の唇を、はだけた前から覗かせた欲望で強引に塞ぐ。

「噛むなよ。これが今から『おまえ』に入るんだからな」

ほら、この大きさを覚えておけ…。

そう、心に刷り込むように、舌で指で女の形をなぞり続ければ、

諦めたかのようにエドの体は変容していく。溶けゆく秘密の泉となって。



息苦しさに、喉を塞ぐものをどかそうとエドが手や舌で押し返せば

却ってロイを悦ばす事にしかならなくて。

……だけど、そんな事エドにはわからない。

「そう、いい子だ…。上手いじゃないか」

「ぅ…っむ、ん、んぅ…ん、くっ…」

苦しさにうっすらと涙が浮かぶ。

男の熱い性に吐息すら逃げる場所を奪われ、次第にエドは朦朧となっていった。





ちゃぷ…と何かを舐める音が遠くから聞こえ、遅れて自分が出している音だと気づく。

(な、んで…。おれ、こんな…ロイ…)

やり方など知らない筈なのに、我に返れば男を舐め喘ぐ自分が居て。

苦しさに軽く歯を立てれば、口の中で勢いを増す凶器に追い詰められる。

そこから僅かにエドに流れ込み交じり合う魂。


(あ…?!)



ぼんやりとしたエドの脳裏に映る映像。伸ばされる手。紅く染まるのは夕日の所為?

弾かれ、軽い痛みに弱気を見抜かれたかと苦笑が漏れる。


(…こ、れって…)

自分を犯そうとしている男の、記憶。たぶん。…でも、いったい何時の?

(俺が辿ったロイの人生に、こんな…街は…)



走り去る、小柄な背中。黒い服に光って揺れる…金の…みつ編み。



(あ!)

これが。

これが、多分、この男の……。





「あっ!あ、あ!あぁう…っ」

なにかがわかったと思った刹那。

不意にあらぬ場所をきつく吸い上げられ、エドの意識は現実に引き戻された。







「ああ、そういえばこいつも、必要だな…」

思い出したように笑うと、ロイは割れ目の先をきつく吸い上げる。

「ひ、やあ、あああぁぁっ!」


ビクビクと痙攣する無垢な肢体。


ちゅ…と強めの音を立てて離せば、そこには紅く熟れた小さな粒が実っていた。

「え…?な、なに…ぅ、あ、なに…それっ…ああん!んっ…」

ぺろりと舐めあげられ、信じられない程の昂りを感じる。

神経そのまま弄られてるみたいな、快感。

「あ、ああ…や、溶け、る…とけちゃ…う…」

幼い声が漏らす、怯えまじりのうわ言。

気を良くしたように口元だけに笑みを刻むと男は再びそこに顔を埋めた。

「ひ、や、ぁあああ、あ…。んっ、んっ…あ、は…」

感じすぎる粒を舌で転がされ吸い上げられ噛まれ、

同時に蜜を零す花びらの奥を、三本まで増えた指で泡立つほど掻き回されて

エドは激しすぎる悦びに、ヒクヒクと腰を痙攣させる。




のしかかられ、足を大きく広げられ、顔はロイ自身で留められ。

逃げたいのに逃げ場のない躯は、まるで誘うように揺らめくしか感情の行き場がなくて。




「あ…は、あ、ああ。いや、いやいやぁ…あぅ、んっ。あ…」

もうとっくに男を銜える事など出来なくなった唇は、

開いた形のまま意味のない音ばかり零している。

「そろそろ、一度イカせてやろうな」

「…え?」


不似合いに優しく呟かれた言葉がエドには聞き取れず、

それでもその意味はすぐに体をもって知ることとなる。


「あっ!ヤ、あ、あ、あ、あ、あああ、あっ」

一定のリズムで深く浅くロイの指がエドを穿つ。

押し出されるように漏れる声は、次第に艶をおびた響きに変わっていき…。




指が一際深く突き込まれると同時に紅い粒を噛みつくように吸い上げられ

エドの中で何かが弾けた。


「あ、あ、あ、あっ!あ、あああーっ!」

一際高い嬌声とともに、びくびくと背を反らせたかと思うと

ぐったりと体中から力が抜け、胸だけが呼吸のため激しく上下する。

ロイの指は未だエドの内部に深く残り、

本人の意思に関係なくビクビクと締め付けてくる感触を楽しんでいた。










「人間のエクスタシーも、悪くないだろう?」

ようやく意識が浮上したエドにかけられたのは、そんな冷たい言葉。



「……ひ、ど…」

「どうして? 楽しんだろ、おまえも」


天使のする魂の交歓であるソレよりも、肉体の匂いが強い行為に落とされて

エドはショックでぽろぽろと涙を零し続けた。



初めての絶頂が男の指と舌で導かれた事も衝撃だったけど、それよりも…。

(さっき、一瞬だったけど…何かが掴めそうだったのに)

霊体同士で交わるということは、互いの心が重なるという事だ。

なのに、さっきの行為は一方的に反応させられただけで、なにも分かち合っていない。


それが…哀しかった。




「泣いても救いの天使は来やしないさ」

ゆっくりと指を抜くと、おもむろにエドに向き直り覆い被さってくる男。

「それより今度はおれに天国を見せてもらおうか」

言いながら、エドの片足を自分の肩に掛け大きく開かせると、

いまだじんじんと痺れる秘密の場所に熱い凶器を押し当ててきた。

「だ…だめっ!…やだ、やめて!…っあうっ!」

上手く力の入らぬ心に鞭打ってエドはロイから離れようと暴れる。

びっと嫌な音がして、片羽根が根本から切れかかる。

「往生際が悪いな」

「だって、こんなの、違う」


エドは真正面からロイを見据えた。



「違う?何が?」

これがおまえが救いたがってる『人』という生き物だ。

「こんなので、本当に救われるの?…あんたは」

真直ぐな瞳。涙に濡れ愛欲に濡れながらも、それは輝きを失うことなく。



束の間黙り込んだロイに、エドは本能のまま問いかけた。

「…さっき、一瞬見えた…あんたの心。金髪の三つ編みの…アレは、誰?」

 

………すいません。Rなシーン書くと長くなるのはわかってたのに。
今回はさらっと流して短くまとめるつもりだったのに。

しかたないやね、エド泣かせるの楽しいんだもん!(開き直りました
続いたよ…。どんどん予定がずれ込んでいく……_| ̄|● …ムノウ




BACK TOP NEXT

 

inserted by FC2 system